3/17/2013

『思考停止型バカ』卒業のために憲法改正を考える

日本国憲法の改正が話題になっている。
日本の憲法は硬性憲法と呼ばれ、他国のそれと比べると改めるのに超すべきハードルが高いらしい。小学校だか中学校だかの社会のテストで覚えた文言が今になって役に立つ。
「日本国憲法の改正に必要な条件は、国会総議員の3分の2以上の賛成と、その後の国民投票での過半数の賛成である。」
最近話題となっているのは、先の「国会総議員の3分の2以上の賛成」を「2分の1」に改めるために、まずはこの数や仕組みを定めている憲法96条を変えて、改憲手続きを容易にしようというもの。安倍首相の国会での言葉を引用すると、
「国民の60〜70%が変えたいと思っても、国会議員の3分の1をちょっと超える人達たちが反対すれば指一本触れることができない。これはおかしい」
となる。


ここからは、僕の考え。
まずは、一票の格差を見なおしてからこの論議をするべきだと思う。
先日、東京高裁は前回の衆議院選挙での一票の格差を違憲とした。最大で2.43倍にもなっていて、つまり、「この私に清き0.50票を!」「あなたの2票が政治を変える!」と訴える選挙になってしまっていること。その結果、衆院にいるのは「違憲の選挙」で選ばれた「違憲の議員」となっており、フェアに選ばれた国民意見の代弁者ではなくなっている。そう考えれば、先の安倍総理が「国会議員の3分の1をちょっと超える人たちが反対すれば〜」という文言は数値を使いその不都合性を定量的に訴えているけれど、反対する議員を支える国民の数は3分の2にもなれば6分の1にもなる。極論ではあるけれど。
まずは民主国家のそもそもである自由で公正な選挙の仕組みを整えて欲しい。国の屋台骨を修復するにはまず地盤から。

その先。
憲法改正に関しては、日本人は政治をすごく遠くて悪者だと思っているから、「憲法改正=戦争放棄を定める9条の改悪」との警戒や固定観念が強く、改憲の議論自体がタブー視されている気配がある。「平和憲法を守れ!」の声を大にして叫ぶの簡単だけど、「どうしてこの憲法を守ったら平和を維持できるの?」という問いを自分自身にとうてみても、すぐに行き詰まる。

「どうしてこの憲法を守ったら平和を維持できるの?」 
「だって、戦争放棄や核武装をしないって書いている世界で唯一の平和憲法だよ。これを変えるということは、多かれ少なかれ日本が武力を持つということになる。安倍首相は国防軍とか言ってるし」 
「でも、北朝鮮が核兵器の開発をすすめていて、中国との中も悪くなっていて、万が一攻撃とかされたらどうするの?」 
「それは安保条約で米に守ってもらうしかない。あとは、日本は外交力をしっかりと持って対話で解決するべきだ。」 
「じゃあ、アメリカが日本に軍を配備しろって命令してきたらどうするの?アメリカ経済は斜陽だし。外交と言ったって、日本の経済力もこのままどんどん弱まっていったら相手にされなくなってしまって発言力弱まってしまうんじゃない?」 
「じゃあ、やっぱり経済力を強くするべきだ!そのために日本の国力を再生する必要がある」 
「それは、憲法改正を推し進めている安倍首相の言ってることと同じだよ。」 
「…」

憲法改正は、何が変わるのか、変わった結果何が良くなり何が悪くなるのか。
自民党だって日本を悪くするために変更するわけではない。HPには丁寧な解説が載っている。
森永卓郎さんの戦争と平和講座は、改正案の負の面の一部を理解するのには役に立った。

憲法も、国も、ほとんどのルールも、それを持続させるために存在しているのではなくて、人々を幸せにするためにあるはずだと僕は思っている。
現在の憲法で現在の日本や将来の日本は幸せになるのだろうか。
考える必要がある。


在日20年のイタリア人建築家、ファブリツィオ・グラッセッリさんは、先のイタリア人と日本人の気質を対比してこう言っている。
「ワーワー騒ぐばかりのイタリア人を『空回り型バカ』と呼ぶなら、日本人は『思考停止型バカ』だと思います」
ものごとが単純化され、わかりやすい解説が次々にコピーされて、いいね!とRTの数が正義になってきている。僕もそれに毒されて、『思考停止型バカ』になっていることを痛感する。楽しげな日常をネットで過剰にアピールしたりして、Likeの数が気になってしまう。
SNSを僕は否定しない。そこから得られる人間的な感情はある意味一つの人間の真理だと思うから、無理して我慢もしない。でも。なるべくひとつひとつの発言に、伝えたいメッセージを含ませる。「日本は良い国だよ」とか、「もっと幸せになろうぜ」とか、「小さなハッピーは日常にありふれてるんだよ」とか。単なるエゴ開放の場にはしたくない。

今年の目標は、考えること。(と、学生だからできる自由な遊びをすることと、恋愛をすること。)
思考停止型バカ脱却のために、学生という目先の利益を上げるために何かに追われる必要がないという立場をフルに活用して、考える1年にする。
憲法改正というトピックも、そのための題材の一つ。時間を作って草案を読んだり、誰かとゆっくり話し合ってみる。


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